デュピクセントの効果
アトピー性皮膚炎の治療は私が皮膚科になりたての頃から、どんどん進化をしています。
当初外来では内服とステロイド外用しかなかったので選択肢が少なかったのですが、数年前に画期的な注射薬が登場しました。それがデュピクセントです。アトピー性皮膚炎では、IL-4やIL-13などのサイトカインが皮膚の炎症を引き起こし、皮膚のバリア機能を低下したりかゆみを誘発します。この注射薬はここのサイトカインの働きを抑えることで、炎症やかゆみ、皮膚バリア破壊を抑制してください。
先日、この注射薬を初めて使用した方のご意見を伺ったことろ「今までで一番皮膚の状態がよいです。」とのことでした。驚くべきことに、初回の注射を打って2週間後でこの効果です。
今までアトピーは治らない・・とあきらめていた方も、手立てが増えて我々も治療しやすくなってきました。
私が開業前に働きながらいろいろ教えてもらった咲くらクリニックでは、かなりの方々がデュピクセントを使用していました。院長の小林先生はかなり使い慣れていて「これでつるつるになるよ~」と患者さんに言っていたので、始めは、ほんとかな?なんて思っていたのですが、実際再診時にみてみると本当に皮膚も顔の表情も綺麗になっている印象です。
しかしデメリットもあります。まずは、この治療は注射の値段がとても高いこと。3割負担のかたで、薬剤量だけでも初回は4万近くします。また首から上の症状の効きがあまりかな・・というところです。また、重症度や既存の外用治療を半年以上しっかりやっていることも条件となるので、患者さんご自身の判断で使用することはできません。
ただ、明らかなのは、アトピーで寝られなかったり、かゆみやストレスで暗い表情った方々が、湿疹が改善するとともにどんどん明るい表情になっていくのがとても実感できるお薬です。
当院では、しっかり外用ができているのにも関わらず皮疹が改善してこない方にお話しています。今後このような画期的な治療薬が増えていくことを期待します。