口囲皮膚炎
口囲皮膚炎は、鼻の下や口周りの赤みのあるぶつぶつや湿疹をきたす病気です。ひりひりやかゆみを伴うことも多いです。ホルモンやお化粧品など様々な原因でおこる皮膚炎ですが、主にステロイド軟膏の長期使用が原因です。アトピー性皮膚炎で治療中の方が一番多く、湿疹やなどの治療において発症がみられます。またアトピー性皮膚炎で主に用いられるタクロリムス軟膏も、酒さ様皮膚炎の原因となるので注意が必要です。
↑ 赤いぶつぶつ、湿疹に似たガサガサ
ステロイド軟膏による治療効果が現れると、皮膚の血管が収縮し徐々に炎症もおさまります。しかし、治療効果が得られている状況でステロイドを使用すると、徐々に皮膚が萎縮し皮膚の構造が乱されるようになります。ステロイド軟膏を使用して半年ほど経過すると、副作用としての酒さ様皮膚炎が生じる可能性があるといわれています。ただし、副作用が出現するまでの時間は、ステロイドの強度による部分もあります。また、同じようにステロイドを使用しても、酒さ様皮膚炎を発症する方と発症しない方がいるため、一概にもステロイドだけの影響ではないと考えています。
ステロイド軟膏の使用を原因として発症した場合は、いったんステロイド軟膏の使用を中止することが必要です。しかし、ステロイド軟膏を中止すると、一過性に皮膚の症状が悪化すること(赤み、ぶつぶつ、かゆみ、がさがさ)がほとんどのため、経過についてはあらかじめ心構えが必要です。強めのステロイドや長期にステロイドを使用していた場合は急激な皮膚症状の悪化を起こすことがほとんどです。
大切なことは、悪化しても予想範囲内のため、めげずに3か月は継続してくださいとお話しています。ただ悪化することで不安になって他の病院に行ってステロイドをもらえば、ステロイドによる血管収縮の作用でいったんよくなるので、治ったと思ってもそれを繰り返しているうちに範囲が広がり、徐々に悪化するのが特徴です。
また、免疫抑制剤の軟膏や抗菌薬の内服が使用されることもあります。抗菌薬の使用は数か月に渡ることもあります。酒さ様皮膚炎では、毛細血管の拡張が長期間残存することもあります。これに対応するために、レーザーによる治療が行われることもあります。